大崩壊

 土曜日
仕事を終え、東京へ。
沢山の人間達が集合する施設の中から数人を連れ立って、焼肉屋で夕飯。生ビール2つを頼んでお冷2つが運ばれてくるというアクシデントを乗り越え、満腹に。同行のメガネ男子(31歳、無職)は、お気に入りの店員の盗撮を試みていたが、どうやら上手くいかなかったようだ。
オウチに帰り、画数多目の川の字になって就寝。
 日曜日
早朝、(31歳)に連れられて、コンビニへ。しかし早朝であるが故に、温かい肉や芋の類が置いておらず、それを目当てにしていたようだった(31歳)が、心なしか肩を落としているように見えた。
この家の周辺には、ゴミ集積所で無い場所に淫らにゴミを捨てる輩が出没するらしく、その旨が書かれた張り紙が我々の目を引いた。
その近くの模型屋の貼り紙で、ブルー1号機がHG化されるという情報も入手。久しぶりにプラモデルを購入する事になりそうだ。しかし積んである未開封のプラモデルの箱達は?
帰宅後、二度寝を敢行しようとしたが、執拗に腹の肉を抓もうとする女や、口から液状化したチョコレートを吐き出す女などの妨害もあり、成らなかった。朝からレゴで脳を刺激。
昼は中華屋で食事。運ばれてきたポテトサラダはピリリと危険な不思議味。出されたものを残すのも悪いと思い、食べ進めていたが、身の危険を感じ始めたので中断。その後、天津麺や牛スジの煮込み(良いピリリ)などで満腹に。
満腹になった人間のうち数人で帰宅しようとするも、家の鍵を所有する人間達とは別行動を取っていた為に入れず。仕方ないので、鍵が手に入るまでの間、(31歳)が古本屋で購入した『ダイの大冒険』を近所の児童公園で読むなどして過ごした。フィンガーフレアボムズは寿命を縮めるので危険であると把握した。帰宅後は主に昼寝など。
夕方から、件の公演『三姉妹のコーダ』を鑑賞。知っている人間が知らない人間になっていて面白かった。あまり知らない人間は、そういう人間として認識された。愛らしさとエロス。ちなみに、件の冊子『忍者-NINJA-』は、印刷が公演に間に合わず。
後片付け、荷物の積み降ろし、ゴキブリ退治、などを経て、打ち上げ。打ち上げた後、解散。最後まで一緒だった(疲れの溜まった31歳)や(三姉妹の長女)に別れを告げ、一人群馬行きの終電車に乗り込んだ。
「終点、高崎です」
おや、終点だ。おや、電車はもう動いていない。おや、迎えに来てくれる人間はいない。おや、お金が350円しかない。おや、お金が下ろせない。おや、そういえば日曜の深夜だった。おや、お金は下ろせるようになるのは9時からか。おや、確か仕事は8時からだ。おや。おや。おやおや。おやおや。高崎の街での20分程の彷徨。そして。
にんげんなら じぶんのあしで あるこう。
歩けばタクシー代(5000円くらいか)も浮くし(どのみち初乗り料金すら払えないので、無意味な妄想でしかないのであるが)、なんか健康的な感じがするし、最近旅もしていないし。一石二鳥や三鳥はありそうだ、という自分自身への精一杯の動機付け。
確か、車を置いてある駅(新町駅)までは10キロほど。10キロ?高校の時のマラソン大会と同じ距離ではないか。確か1時間ほどで完走したような気がする。じゃあ走ればたったの1時間で着くのか。じゃあ走ろう。
走った。エロい絵を小脇に抱えながら。雪駄をペッタンペッタンさせながら。思考しながら。
「つい左折してしまったけれど、この道で良かったのだろうか…?」「誰か俺を殺してくれ、というかお前等全員殺してやる」「あ、この道で良かった」「溶岩焼!(溶岩焼と書かれた焼肉屋の看板に向かって)」「しにてェ…」「何年か前に自転車で走った道と全く同じだ。面白くない。しかも自転車なら5秒で終わった道なのに」「毎日自動車で走っている道と全く同じだ」「しにてェ…」「気持ちが楽になってきた!」「昔この辺りまで自転車で来た時は随分遠く感じたものだけどなぁ」「(ゴールする自分の姿を夢想)」「明日はどっちだ?あっち?スペシャルサンクス」「川のいい匂いがする」「歩いたら負けだと思う」「家まではすぐだけど、明日があるからなぁ」「ゲンちゃんち通過」「しにてェ…」「走るスピード落ちてきたな」「つうか歩いた方が速くないか?」「おや、歩いた方が速い」「歩くと鼻緒が皮膚と擦れて痛いなぁ」「膝が痛いなぁ」「足首が痛いなぁ」「やっぱり走った方が速くないか?」「いいから歩こうぜ」「コーラでも飲もうぜ」「ああ、着いた」「車の鍵を無くしたりしていたら面白かったのに」「タイムは02:15〜03:56か」「空が青い」「朝だ…」
 月曜日
足に激痛が。さらに豚に足を、豚足(ちなみに、食わず嫌いで、食べた事はない)で足を、踏まれたので、激痛が。痛い。この痛みこそ生きている証。今、生きてる。