ステップ床

 あ、ありのまま今起こった事を話すぜ!
『車で雪道を下っていると思ったら登っていた』
な…何を言ってるのかわからねーと思うが、おれも何をされたのかわからなかった…。頭がどうにかなりそうだった…。
 ところでダム男(だむお)を知っているだろうか?ダム雄だったかも知れないが。
 ダム男は巨大なズタ袋(ゴルフバッグ)を背負ってガラクタを集めて回る小学生である。玩具屋の空のガシャポンの機械を盗もうとしたところ、店主に咎められたので、鼻血を出させてやるような男である。
 ダム男には母がいない。行方不明である。父と二人暮らし。父の友人には韓国人のキムさんがいて、牛肉の土産を持って来てくれた事もある。その日はプルコギだった。
 ダム男の奇行は学校でも有名で、風紀委員の女の子に目を付けられていた。女の子はダム会社の社長令嬢で、小さい時からダム造りの遊びで育った、いわばダムのエリート。ダムに対する情熱はダム男にも負けていない(ダム男は何故ダムを?)。
 やがてダム造りで対決する二人。対決の場に来ていたダム男の母の声援でダム男は発奮。ズタ袋の中身のガラクタを全部ぶちまけてダムを作成(審査員曰く、巨大なオブジェ)。
 その後、勝負の結果は忘れたが、母と抱き合ってハッピーエンドであった。
 小学生の時のダム見学で貰った漫画である。ワンカップみたいな容器に入った不味い水も同時に貰った記憶がある。「みなまたのみず」と呼んでいた気がするので、「みなまたダム」という場所だと思っていたのだが、どうやらそんなものは無いようだ。みなかみという地に奈良俣ダム相俣ダムといったダムがあるので、それの勘違いか、それとも、「みなかみ」+「〜俣」で「みなまた」だったのだろうか。
 ちなみに漫画は同じ本の中にもう一篇収録されており、それは水の精と人間の話だった気がする。水の精の長の娘と、主人公の一人である水と人のパイプ役的なよく分からない人が恋仲で、長にそれを咎められるのだが、最後は結ばれて良かったね、というラストだった気がする。水の浄化のシステムなどを学べた気がする。
 そんな事を思い出したのは、雪が降っているのを見ていた時。