記憶劇場放火

 金曜日
仕事行って、昼食を取って、歯医者に行って、東京行って、というといつも通りだが、数日前から財布が空で、しかもその財布を家に忘れてきたり、という地味なアクシデントが地味に響いて、ストレスだった。
ともかく東京、池袋。母子、それから、備え付けコンドーム氏と会食。場所は、先日五反田で入店した桃源郷の池袋支店。
鮭にホッケにシメサバに。旨い魚を大量摂取。
ラーメン狂の備え付け氏は、入店前に既にラーメンで腹を満たしていたので、Tバックの上の紐がはみ出した女性従業員を視姦する事に集中していた模様。
しかし店を出る頃には皆小腹が空いていて、良い店を求めてしばし街を放浪。結局駅前のラーメン屋に入店。奇妙な、懐かしい、でもあまり綺麗ではない思い出の味。
備え付け邸にお世話になるつもりだったが、備え付け氏は明日早いのだという。余りにも体が睡眠を欲しているので、遅くまで寝ていられる母子邸にお邪魔する事にした。
 土曜日
遅くまで寝ていられるわけもなく。早起きした幼女に叩き起こされ(といっても狭いスペースで寝ていた為に元々眠りは浅く、夜中に度々意識を取り戻していた)、公園に行こうとせがまれるも、断固16時までは動かないと意志を固めた。
昼はマックを買ってきてもらって食べた。噂の「The Quarter Pounder」は味付けがマックなので、旨いには旨いが、という感じ。今はモスの国産の肉だけを使ったハンバーガーが気になる。
食後は即睡眠。幼女はその父が公園に連れて行ってくれたので、安眠できた。自然に目が覚め16時の10分前。その父と交代で公園に。その父は一人で稽古へ。いずれ呑み屋で合流予定。
公園では幼女を含めた女子グループと、それを離れて見つめる少年がいた。幼女とは知り合いらしい少年。少年の母が幼女にジュースを、私にはコーヒーをくれた。
やがて女子らはガムを食べ出した。もちろん少年の分は無い。少年が私に近付いてきて言った。
「なんでアイツらガム食べてんの?」
私はポケットから一枚のガムを取り出し、少年にあげた。昨日桃源郷で貰ったガムである。大人の辛いガムである事を断っておいたが、割と平気で食べていた。そしてダッシュで公園の外に駆け出す少年。
しばらくして少年の母が玩具を持ってやってきた。リモコン式の車の玩具。「よく分からないから」と言って、取り扱い説明書を私に渡した。どうやら日本語があまり得意でないらしい。いや、お母さんとはこういうものなのかもしれない。
どうやらそもそも電池が入っていないようだが、電池を入れた場合の起動の仕方などを伝えた。少年、幼女も交え、よく分からないやり取りをしているうちに、少年らは帰る事になったようだ。玩具を返そうとすると、それは幼女にあげるという。「よく分からないから」。どうやら初めからそのつもりだった様。
ブランコ。幼女を強く押してやる。幼女は、あまりの凄さに「アメリカ人になる!ビルが建つ!」などと大興奮であった。
やがて辺りは暗く寒く。銭湯に入りたがる幼女。その母に幼女を返して、その父でも追おうかと思ったが、成り行きで私も一緒に銭湯に行く事になった。
カポーン。体を流し、そして灼熱。45度とかどういうつもりなんだろうか。風呂から上がってコーヒー牛乳。そして遅れて上がってきた幼女がどうしても一緒に飲みたいというのでもう一杯。コーヒー牛乳が無かったので普通の牛乳。私は牛乳を飲むと腹が下るのだが、幼女は私の腹が下っても一緒に飲みたいというので、飲んだ。でも今思えば結局下らずに済んだな。幼女が脱衣所の鉄道模型を破壊。謝罪。
約束時間が迫っていたので、一人タクシーで板橋にある店へ。某組織暴力の会合。6時半に店、という認識でいたのだが、6時半に板橋、というのが正解だったようだ。予想外に一人先に着いてしまったので、ついでに席取りをした。その後何組か客が来たので、このアクシデントがなければまとまった席は取れなかっただろう。塞翁さんの話を思い出す。
人が集まってささやかな忘年会。その父に加え、久しぶりに会うロシアの狼さん、イデオンさん、アクマイザーさんの3人に、初対面の愛妻家さん。意外にもちゃんと武術の話で盛り上がっていた、という状況を日記に書こうと思った、という事を皆に告げたりなんだり。よく覚えていない。やきとんと煮込みをクラシックラガーで。
会は解け、板橋で前転。そして散った。
 日曜日
なんとか帰宅し、なんとか出勤。
山は雪。ほんの10分程度の間にドンドン景色が変わっていく。山を登っていくと、段階的に雪が強くなっていくのが面白い。何となくゆっくりと強くなっていくのではなく、カチッカチッと切り替わる。
雪に包まれた山。猫は見えない。
帰宅後は肉。牛肉。最近のいい牛肉というと、どうも局長風一択である。