土曜は近くて今朝は遠い

 土曜日
早起きするつもりが寝坊。電車を一本逃した。準備をちんたらとやっていたら、さらにもう一本逃した。2時間遅れの電車で地元藤岡へ。湘南新宿ラインは最寄り駅から最寄り駅まで乗り換え無しなのがありがたい。
実家には寄らずに病院に直行。祖母が入院しているというので、その見舞い。差し入れの稲荷寿司などを食べつつ家族親戚らと談話。十日程前、実家にトムという19歳のイギリスの青年が泊まっていったらしい。姉の友人だそうだ。そんな楽しそうなイベントに関われないとは。
見舞いの後も家には寄らずに直接駅へ。前橋ラタンでのライブを見る為。前橋といえば、club FLEEZがまだ前橋にあった頃に、初めてOUTRAGEを見た土地。今日は大阪同様GUILLOTINE TERROR、鍾馗、DIE YOU BASTARD!、それと群馬のバンド達。想像以上に良いバンドが多くて驚いた。飛び入りの突撃戦車含め9バンド。しかし不思議と長さを感じなかった。
ライブ終了後、ラーメン屋で食事。替え玉も頼んだのだが、店員さんに忘れ去られていたらしく、なかなか出てこず。催促したら替え玉分をタダにしてくれた。しかし胃が落ち着いてしまっていたのでちょっときつかった。
その後ラタンで一泊させて頂いた。出るという噂だったが、変な夢を2,3見た程度。
 日曜日
この日も山形の酒田でGUILLOTINE TERROR、鍾馗、DIE YOU BASTARD!の3バンドのツアー。ちょっと気になっていた怒悶も出る。大阪、前橋ときて酒田にだけ行かないのも半端だ。山形は未踏の地でもある。というわけで酒田まで行ってみる事にした。バイト先に電話して月曜と水曜を休みにしてもらう(水曜はまた見舞いに行くのだ)。
高崎から新潟まで新幹線。「とき」はフォルムといいカラーリングといい、新幹線と言う他無いデザインで素晴らしい。中で仮眠。
新潟から酒田までは一人で鈍行。金が無いとか、初めての山形の雰囲気をじっくり堪能したいとか、理由が無いではなかったが、特別大きな理由があったわけでもなく、実はあまり深く考えていなかった。電車内には、常に満面の笑みの男性、駄々をこねる女の子と父親、喧嘩するニート(30代)と母親といった面子が揃えられており、早くも鈍行を選んだ事に対する後悔を誘った。車外に「バイキング・カラオケ無料」という看板を見つけたので、もし「バイキングカラオケ」などというものが存在したなら、一体それはどういうものなのだろうと考えようとし、止めた。
新発田で乗り換え。新発田に到着したのは13時過ぎ。酒田行きは16時前。2時間半の待ち時間。しかし天気もいいし風も気持ちいいし、せっかくの日曜日を堪能しようと、茶を買って弁当を食べた。稀に見る落ち着いた食事だった。時間を気にする事無く、弁当のみに集中した。おかずを食べる順番や味などを頭の中で一つ一つ確かめながら、ゆっくりと胃に運んでいく。以前、こんな風に弁当を食べる男の思考を描いた短いドラマを見た気がする。私の記憶の中には石橋蓮司があったので、「欲望の食卓」だろうか。
やがて酒田行きの列車が来た。電車ではなくディーゼル車だった。冷房は扇風機。かなりの勢いの扇風機が天井に大量に取り付けられている。少し寒い。この路線は線路が一車線しか無いらしく、反対方向の列車が来る度に駅で待機していた。待ち時間の間、車内に入り込んだ羽虫が、次々と扇風機に突っ込んで死んでいった。地獄。海に沈む夕日や謎の豚の像など、日本海沿岸の風景を楽しんだ。
酒田に到着したのは19時半。既に一つ目のバンドは終了していた。この日は山形だけでなく、秋田などからもバンドが集まっていたらしい。やはりツアーバンドを迎える地元のバンドというのは力が出るものなのだろうか。トリの怒悶もなかなか気合が入っていたように思う。
翌日は休みにしてあるのでまた鈍行でゆっくり帰る事にした。ライブハウス近くの居酒屋で打ち上げ。席にいた半数ほどが新旧いずれかの「妖怪大戦争」を観ているという事実に驚愕した。
 月曜日
朝2時半頃お開き。私は始発が出るまで動けないので、まだ飲み続ける雰囲気の企画主E氏に付き合う事に。しかしGUILLOTINE TERRORがアンプの上でいいなら車に乗せてくれるというので、好意に甘えさせてもらった。敷いてあるマットの感触や天井の低さなど、スシ詰めのテントを感じさせて良かった。E.YAZAWAを聴きながら就寝。
途中のサービスエリアで蝉の抜け殻を発見。ナウシカ王蟲の抜け殻を見つけた時の曲が自然に頭を流れた。最近空に秋っぽさを感じていたが、この日は夏が戻ったような感じがした。
結局高尾まで送って頂いた。せっかくなのでこのまま無意味に高尾登山をして、とろろ蕎麦でも食べて帰ろうかとも思ったが、高尾駅についた時点でその気が萎えてしまった。そのまま帰宅。17時頃。
夜道を歩いていたら例の薬屋の猫にまた驚かされた。片足立ち状態で歩みを停め、同時に小刻みに震えた。