アリガトウ

 会議なるものを体験した。そういう風な名前が付いたものなど、もしかすると高校生の時以来ではないか。
 会議終了後、皆で黙々と「ほっかほっか亭」の弁当を食べるという謎の儀式が行われた。会議が終わったなら、早く解散すれば良いのに。家に帰って食べれば良いのに。もしくは食べながら話をすれば良いのに。食べながら話をするつもりだったのだろうけど。私の買ってきた弁当を。
 帰り道、車に乗っていた私は、道路を右折をしようと思い、対向車が途切れるのを待っていた。一台の車がスピードを緩め、私に右折の機会を与えてくれた。私はその機会を見逃し、ゆっくり走る優しい車を見送ると、右折した。優しい車は最後尾の車だったのだ。バックミラーなどを見ていないのだろうか。それとも優しすぎたのだろうか。
 ガラスに閉ざされた車の中、一人で「ありがとう」と言ってみた。少し小さい声だったので「ありがとう!」と大きな声で言ってみた。どうせなら思い切り言ってみようと「ありがとう!!!」と叫んでみた。全力で声を出せていない気がしたので「ありがとう!!!!!」と絶叫した。救われた。