ドリームランドは今日も

 天気は今日も雨。血の雨。
 家の近所の田んぼの真ん中を突っ切るアスファルトの道路。道を少し外れた空き地に焦げたドラム缶が置いてあった。中には、人間よりも少し大きい程度の自由の女神像の上半身。このドラム缶で焼かれたのか、煤けている。ドラム缶の中、だと思ったのだが、女神像はいつの間にか地面に広がった灰の上にあった。
 冷蔵庫のような重たい物を動かす時、左右を交互に浮かせながら、ズリッズリッと少しずつ地面を歩かせるようにするだろう。女神像がそのようにしてにじり寄って来た。
 恐怖にかられた私は、大きなハンマーで女神像を一撃した。像の材質は陶器だったろうか。ひび割れ、砕け散り、中から内臓の様なものが出てきた。中に人が入っていたという訳ではない。骨も筋肉も無く、ただ、柔らかい内臓だけが詰まっていた。片手持ちのゴムハンマーに持ち替え、割れた部分から露出した内臓を叩き潰す私。しかし、内臓を飛び出させた女神像も、飛び出た内臓も、動く事を止めずに私に近付いてくる。アスファルトの上、割れた像の破片と一緒に脳、の様なものがあった。それをハンマーで潰すと、心なしか全体の動きが緩んだように感じられた。火で燃やせば大丈夫だというような気がした。
 それが今日の夢。実はこの夢を見る直前に、似た様な夢を見ている。長く縮れた黒髪の陶器製女人形を教室の様な所で破壊するのである。ハンマーで。飛び出る内臓。起きてから、夢を夢と認識するまでの時間は恐怖に苛まれていた。
 女と内臓に怯えているのだろうか。立ち向かう術はハンマーと火。
 昨日豚の内臓写真を山ほど見たから、大半はそのイメージなのだろうが。
 夕飯は鰻。私の一族は、昔は胡瓜を栽培する事を禁じられていたらしい。あと、枇杷を家の敷地内に植えると唸り声が絶えないからいけないらしい。