インクマ

 金曜日
正午に仕事が終わる金曜日。昼飯も食べずに大急ぎで電車に駆け込んだのが午後2時30分。熊谷へ。あ、昼飯、乗車駅で食べてた。ピリ辛チーズ蒲鉾と缶ビール。
ともかく熊谷。午後3時。先ずは今日の最終的な目的地の場所確認。その熊谷BLUE FORESTの前に出された看板。開演は午後6時30分からのようだ。
星川通りを歩いて辿り着いたフライ屋。前に(パレオパラドキシアの存在を感じた日、と言えば、あなたには分かるかもしれない。でもたぶん分からないと思う)一度入った事がある店。フライ焼きそばと瓶ビールを麻雀ゲームの筐体の上で。サービスの枝豆が嬉しい。
フライとビール、実に合いそうな組み合わせだが、実は今まで考えた事も無かった。想い出の中のフライは、いつだって未成年の自分と共にあったから。グビリ、旨い。
店内を見渡して目に付いたのが「雪くま」。TVやら何やらで見聞きした事がある。最高気温を記録したこの街ならではの涼しげな食べ物だという。ミルクブルーベリー味を注文。出てきたのは、氷がやたらきめ細かい巨大なカキ氷。白くまとかけたのだろう。何を?
すっかり腹一杯になったところで、次のフライ屋へ。
昔、熊谷にある大学に、漫遊会という旅サークルがあった。そのサークルは、学園祭に際して焼きそば屋を開いたのだが、その開店に協力してくれたのが、目的のフライ・焼きそば屋である。私も店で焼きそばの修行をしたものだ。一回焼いただけだけど。
見つからなかったので行くのを断念。土手沿いの児童公園の手前じゃなかったっけ?
仕方ないので、熊谷っ子ならみんな大好きなSATYへ。小便を催した為。中は空調が効いており、快適。フードコートの充実振りを確認した私は、その側のベンチに越し掛け、寝た。
午後5時45分。私はSATYを出て、ピザーラを探した。しかし無い。確かSATYの近くにあったはずなのだ。SATYに寄ったのもその為。しかし無い。
記憶を辿ってあちこち巡った末に着いたのは漫遊荘。かつて、全ての部屋が漫遊会の所属学生で埋まった事もある伝説的な集合住宅である。今も一人住んでいる。
戯れにドアを叩いてみたが、どうやら留守のようだ。あたりに鐘の音が響く。熊谷次郎直実ゆかりの熊谷寺のものだろう。と思ったら全然違う寺だった。
そろそろライブでも見に行くかと、SATYの通りを先程とは反対方向に歩き出すと、直ぐにピザーラの看板が目に付いた。ちょっとした記憶のキメラが生まれていたようだ。ポテトとアップルパイを注文。ピザーラは持ち帰り、もしくは宅配で1050円以上ならばサイドメニューだけの注文もOKなのだ。まあ、そういう情報を某ピザーラ店員から得ていたので寄ってみたのだが。
グラインドコアバンドの住居の近くのコンビニで酒を買って、星川通りのベンチでポテトとパイをつまみに一杯。真正面には身代不動尊聖徳太子。戦災者慰霊の女神も私を見ている。
久しぶりの熊谷を堪能したところで再びBLUE FORESTへ。MORTAR RECORD企画の『regaマシリト ダブルレコ発』。大阪から来たthe brownというバンドがなかなか格好良かったのでアルバムを購入。オマケにとテーブル上に散らしてあった造花をくれた。
ライブを見終えて午後10時。家に帰るのも億劫だったので、漫遊荘に転がり込む計画を立ててみた。が、先客アリとの事で断念。
とりあえずライブハウスに戻ってみたら、打ち上げをやるというので参加。最早家に帰る気はしない。
 土曜日
山盛り料理に焼酎ロック。同席のI様もだいぶ自由な感じに。宇多田ヒカルGAMMA RAY防人の詩とChaosdragon Rising。5年前からI様たちのファンだという寄居出身の青年は21歳。若い。
店を出て解散。しかし締めてもすぐに散る様子は無い。だいぶ限界が近付いていた私は、道端の石製ベンチにゴロリ。
気が付いたら午前7時。周りには誰も居ない。何事も無かったかのように起き出して、駅に真っ直ぐ。
上野行きの電車を待つ私だったが、アテがあるわけでもない。今日は夜から板橋での花火大会の予定なのだが、昼はどうするか。
疲れた頭からやがて浮かんだ言葉は「スーパー銭湯」。時間の都合で諦めたが、実は昨日も銭湯に入りたいという欲求はあったのだ。
オウチに電話して銭湯情報を入手。板橋にあるらしい。バスで行くそうなので、とりあえず赤羽まで。
開店時間まで間があるので、赤羽で食べ物屋探し。丁度お腹も空いている。ラーメンが食べたかったが、開いている店は無い。仕方ないので吉野家で生姜焼き定食。側には剥げたおじさんを囲む外国人商売女三人。
バスに乗り、志村坂上近くの温泉に到着。朝日を浴びながらの露天風呂。風呂上りにはフルーツ牛乳。そしてマッサージ。生まれて初めてのプロのマッサージだったが、気持ちいい、というか激痛。それでも眠くなるから不思議。
マッサージ後は畳の上でゴロリ。そのままウトウト。
そこにメールが一通。連れ込み宿氏からの酒の誘い。昼寝のあとは花火まで温泉の食堂で酒でも飲んでいようかと思っていたのだが、せっかくなので外に出た。
が、連れ込み氏と合流するにあたって、花火に行く予定のその母に連絡を入れたところ、温泉に入る為にこちら方面に向かっているという。私を驚かせる為に来る事を黙っていたそうだ。仕方ないので、幼女とその母だけで温泉へ。私は板橋区役所へ。
まだ午後4時前、という事で仲宿もロクに店が開いていない。大山まで足を伸ばしてホルモン屋で軽く酒とホルモン。ひと段落ついたところで次は大阪王将で軽く酒と餃子。最後は連れ込み氏宅で軽く酒と餃子。
新大久保に打ち上げ花火を見に行く氏と分かれて、板橋の打ち上げ花火を見に行く私。新大久保にも行きたかったけど、こちらの予定を先に立てたのだからこちらを優先する。
蒸れを嫌う病気のその父が欠席となったので、幼女とその母、その母の友人、そして私、という布陣となった。2年前の花火大会の面子−3人、と考えると少し寂しい、とも思えなくもない。
あまりの人ごみで下半身が蒸れて病気になりそうだった。焼きそば屋のおねえちゃんもグロッキー状態で行動がおかしくなっていたし。でも肝心の花火は大変良いものだった。ビールと焼きそばも良いもの。
人ごみからの脱出行。池袋で女子たちと別れて、私は一人夜の川崎へと消えた。
 日曜日
昨日の夕方、大阪王将にて受け取ったメール。世界氏からの酒の誘い。世界氏といえば川崎、川崎といえばテロ(川崎で朝までカラオケの意)、と思ったのだが、どうやら家で呑んでいるらしい。一緒にいるのは高校の時にブイブイ言わせていた青年。
私も体力が尽きかけていたので、そのまま世界氏宅に向かおうかと思ったが、向こうが出向いてくれるという。というわけで彼らにとっては唐突に、私にとっては予定通りにテロ発生。
このテロ、前述の漫遊会の集いなのであるが、みんな仕事持ちのうえに住む場所がバラバラなので、集まりはそれほど良くない。そもそも群馬在住の私がレギュラー化しているのも謎である。そんなこんなで、氷で薄まったコーラを啜りながら今後の活動方針について話してみたり。体力回復後の後半はしっかり歌って酒も呑み。
午前5時解散。前半の緩さが功を奏したのか、最後まで元気な状態で終えられた。ブイブイ氏を見送り、私は世界氏宅へ。
駅の改札の横、全開状態の扉を発見。障害者用の扉のようだが、何故か開きっぱなしになっていた。川崎〜蒲田の自由な空気を感じながら、クーラーの効いた部屋でおやすみなさい。
そして寒さで目が覚めた午後1時。しそ焼酎を飲みながらTVウォッチング。フジテレビの27時間テレビのダイジェスト版。さんまも大変である。
ご馳走になったインスタントラーメン(とんこつ)が胃に嬉しい。お腹が一杯になったところでお昼寝。グウ。
午後4時30分起床。グラスに残っていた焼酎をグイッとやって、一人外へ。クーラーの効いていない世界を地獄という。
やがて辿り着いたのは池袋という地獄。今日は新大久保でライブの予定だが、少し時間があったので、幼女とその父母を酒に誘ってみた。入った店は生ビール一杯180円という極楽。料理は高かったので、会計は驚きもなく普通に。
新大久保へ移動。EARTHDOM企画『D/G/ss/05』。一バンド目のKAMISORI(アルバム購入)からトリのFROM HELLまで楽しめた。久しぶりのTERROR SQUADで酒も進む。
ライブ後、吉野家の牛すき鍋(単品)でお腹を満たし、これでやる事を全て終えたと、電車に乗って群馬まで。なんとか最終の一つ前の電車に乗れた。
途中、電車内で独り言系の酔っ払いのおっさんに遭遇。おっさん、やがて付近の女子に絡みだし、それを見咎めた付近の青年に何やら言われたようだ。おっさん、標的を青年に変更。「カッコつけんじゃねえよ。お前学生か?」「お前捕まった事あるか?」等。駅に降りてからタイマンする気だったらしいが、青年は完全に無視。「弱っちいなあ!チンポコ小せえなあ!」と捨て台詞を吐いて去っていった。青年は指も動かさずにじっと携帯電話の画面を見つめていた。
 月曜日
仕事。
異常な暑さ。自動車通勤の利点は、常に最適な温度を保てるという事か。
夕飯はカレー。しかし肉が無いからといって、シーチキンはどうなのだろうか。