夜の新宿、高島屋

 夕飯はコロッケ。しかし、台所にレトルトのカレーがあったのでそれも食べた。
 そのレトルトパックには「レストラン用」の文字が見える。お湯で温め、ご飯にかけて食べてみると、成る程美味い。だがレストラン用という事はレストランでもこれを出しているという事か。レトルトのカレーを。可能性があるとすれば、かつて訪れた、昼ドラの撮影に使われた熱海のレストランなどがあたるだろう。
 と、思い出した。今朝のドリームランドでは戦争が行われていた。城攻め。新宿南口のサザンテラスの様な場所で、高島屋の様な場所への入り口で睨み合う二つの陣営。私は、誰か女性からの指示で、城を攻める方についた。不意に、扉の一つが開き、早速そこからの侵入を図る者達がいた。
 私は髭の立派な恰幅の良い中年の巨漢であった。得物は身の丈程もある大剣である。仲間と思われる集団の中を抜けると、広場のような場所があり、そこには兵隊にしては不揃いな格好をした集団が見えた。普段着姿で、武器を手にしてはいるが、ナイフや工具など、ありあわせの道具で武装している。彼らを見て私は、十分戦える相手だと感じた。
 よく話を聞くと、彼らは中立の勢力であるらしく、私たちのリーダーがその説得に当たるとの事。一人で前に進み出たリーダーは、彼らとなにやら話をしている。リーダーの腹心の部下も馬でやってきて、馬から下りてリーダーの脇に立った。彼は簡素な兜を被った、口髭のある太った男だった。私は彼の乗っていた醜い馬に乗ってみたが、馬は私の体重に耐え切れずに地面に伏してしまった。
 私も中立勢力に威圧をかける為に前へ。やがて話はまとまり、彼らを味方に引き入れる事に成功した。高島屋へ続く階段を駆け下りながら、私は、もし次回の交渉を任されるのが私だったらそれを成功させる自信は無い、と思っていた。何せ、もし次の交渉があるとすれば、その競合相手はあのギレン(U.C.0044〜0079)である。
 高島屋内。階段を降りた私は、ガラス扉の前で敵と相対した。数は二人。前に一人と、もう一人は横に回り込まれてしまった。前の敵の方が近かったが、先ず横の敵に動いた。胴を薙ぎ払って一撃で。前にいた敵には殆ど背中を見せている状態だったので、相手が冷静であれば私は殺されていただろう。しかし彼は竦んでしまい、行動する事が出来ずにいた。その胴をぶつかる様にして刺し貫いて二人目。目の前で人が死んでいくのは凄まじかったが、現実離れした得物が生々しさを薄めていた。
 そこに現れた三人目。彼のモヒカン頭に大剣を叩きつけたが、軽い傷を付けただけで、先程の様にはいかない。二度三度と斬り付けるも、全く致命傷とはならなかった。彼が言うには、振り下ろす瞬間に踏み込むべき足が浮き上がってしまっているのだという。身体が躊躇しているのだ。殺しを恐れているのだろうか。その考えを振り払うようにもう一度剣を男に振り下ろすと、今度は刀身が三つに折れてしまった。手に持っている折れた剣を見ると、刃の柄に近い所に製造した会社名と思われるロゴと「223cm」の表記があった。
 剣を失った私はそこから脱出し、武器になりそうなものを探した。そして廃屋のような建物の中で見つけたのがア・バオア・クーの様な形をした木の棒。杖だろうか。しかし、先端部分が重過ぎて、振り回すのには向かない。
 次に見つけたのは金属製の棒。これは良さそうだった。錆が浮いていたが、近くに落ちていた新聞紙を束の中から一枚だけ剥がし、それを手で持つ部分に巻きつけた。具合は悪くないようだった。
 それからどの程度の時が経ったのか、私は戦いを止めていた。野生児のブランカも戦場へは出ないという。
 街の中で出会ったのは、中学時代の同級生二人。彼らは映画を観に行くというので、暇だった私も同行する事に。もっともその映画は既に鑑賞済みではあったのだが。ブランカも誘い、彼も一緒に来る事となった。私は同級生二人に、先日戦場で数人を斬り殺した事を伝えた。
 やがて辿り着いた建物は映画館ではなく、ネットカフェの様な休憩施設だった。東北行きのバスを待つ友人(=ブランカか)の為に利用するつもりだったが、丁度帰省シーズンという事で、バスを待つ大学生で部屋はいっぱいとの事。部屋が空いた時の為にと、同級生の一人が、利用する友人の名前と連絡先を伝えた。彼の名前は「モツ鍋コテコテモッちゃん」で、本名は石塚(=ブランカか)である。
 その時、石塚と同じ寮に暮らす男がやってきた。彼は受付で私たちと同じ用件を伝えると、何故か従業員用休憩室に通された。常連だろうか、という想像をする私。休憩室の中には彼の知人が既にいて、新たに入ってきた彼と挨拶を交わした。
 さて、私が書けるのはここまでである。この後の展開は夢にでも見るといい。