ラストハルマゲドン

 深夜0時過ぎ、なべっちが来訪。軽く酒を飲んだりしつつ、朝方に就寝。しかし寝付けなかったので、思い出したように部屋にあった大量のゴミをゴミ集積所に置いてきた。11時過ぎに起床。なべっちと別れて、バイトへ。
 20時過ぎに帰宅。ポストには郵便局の不在票が。今日か明日来る予定だったものだ。どうやら11時には来ていたらしい。寝ていて気が付かないとは不覚。
 部屋に入ると、台所と居間の仕切りの戸が開いていた。これまた不覚だった。Gが出てから、外出時にはここは閉めるようにしていたのに。私が留守の間にGが居間を我が物顔を占拠していたと思うと腹立たしい。そんな事を考えながら電灯を付けたら、足元にいた。
 そして一瞬で姿を隠したG。探すがいない。私の部屋の南側には大量の瓶やペットボトルが森のように生えている地域がある。そこに逃げ込んだに違いなかった。一本一本瓶をどかしていくと、いた。と思った瞬間にGは高速で私の右足に這い上がってきた。悲鳴を上げつつ全力で足を振り払い、台所へ逃亡。払った瞬間に飛び立ったGは、一瞬私と並行して台所方面に飛び、途中の壁に張り付いた。
 居間に戻った私はマルメタシンブンシを構えた。それにしても暑いからといって靴下を脱がないで正解だった。以前、生足を這われた体験を思い出して、靴下は履いたままだったのだ。危うく命を落とす所だった。ちなみにズボンは脱いでパンツ一丁だ。
 それにしても、改めて見るとデカイ。半端じゃなくデカイ。「本当に一撃でやれるのだろうか?」などと思っているうちに、Gは壁の上の方にある溝に入ってしまった。これではシンブンシは届かない。そこで新しい道具を作成した。新聞紙をコヨリ状にした牽制用の武器だ。これで溝を探ってみた。しかし全く反応が無い。もしかしたら知らぬ間に移動しているのかもしれない。部屋の中央に座り込み、小さな虫にもいちいちビクつく。すると、Gは隠れた場所から少し離れた地点にひょっこりと顔を出した。そして全身を現す。
 「ダッ!!」と無意識に声を発しながら全力でシンブンシを叩きつけた。Gは息絶えた姿のまま柱に縫い止められた。コヨリ状の武器を皿状に改造してGの死骸を回収。外に出て階下に落とした。筈だった。しかし落ちた気配が無い。新聞紙の中を覗いても死骸は無い。暗かったので落としたのに気が付かなかっただけなのだろうが、Gの不死性を象徴しているようで嫌だった。
 疲れ果てていた。あれだけのサイズの生命を絶つのにはかなりの気力が要る。自分が明確な殺意を以って殺した過去最大の生物だったのではないだろうか?活きた魚をさばいた事はないし、豚の屠殺も直接した事ないし。
 とりあえず穢れを落とす為に風呂に入った。そして飯を食べた。もう日が変わっている。洗濯機を回しつつ郵便局へ品物を回収に行く。ZOMBIE RITUALのLP2枚。1枚はなべっちに頼まれた分。帰り道、例の薬屋の猫がいた。実はそこは薬屋では無くて選挙事務所だった。でもその猫は薬屋の猫と呼び続ける事にした。
 帰宅後包みを開封してみる。真っ赤なレコード、飛び出すメンバー写真等、目でも楽しませてくれる。実はZOMBIE RITUALのライブは過去2回しか行っていないのだが、その2回のライブを中心に収録されていたのが嬉しかった。
 もう翌日朝だ。