苦い思い出

 朝、通販を頼んでいたものが届いた。サービスでよく分からない薬のようなものが付いていた。ブルーベリーの成分らしい。一粒口に放り込んで家を出た。ひと噛みすると、苦い汁が出た。「なんだこれは!毒か!」と思わず吐き捨ててしまった。しばらく口の中に苦味が残った。帰宅後に袋を調べた所、水かお湯と共に摂取するものだと分かった。
 銭湯に行き、浴場で歯を磨いていると、一人の青年が入ってきた。そして悲鳴と共にコケた。額が割れて派手に流血していた。私はそれを鏡越しに見つめながら歯を磨き続けた。そして風呂からあがる時に、滑って、直立したまま数十cm平行移動した。
 脱衣所では、先ほどの青年が友人に対して「最近銭湯行ってなかったからな…。銭湯って滑るじゃん?温泉とかって滑んないじゃん?」というような事を言っていた。血が足らないらしく、辛そうだった。